NVMeに対応するミッドレンジのオールフラッシュ・ストレージ IBM Storwize V5100FおよびV5100

Takumi Kurosawa
8 min readApr 3, 2019

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去年、業務用ブログで公開した翻訳記事で紹介されている「Forrester ConsultingにIBMが委託した最近の市場調査結果」によると、中堅企業におけるフラッシュ・ストレージの需要が拡大しています。

規模や構成に大小の差はあっても、企業がストレージに求める要件に大きな違いは無いでしょう。ただ、中堅企業は、ITのための予算が限られていることから、費用対効果の観点で高い実績のあるテクノロジーとソリューションを必要としています。

IBMは、汎用ディスク・アレイに関するガートナーのマジック・クアドラントと、ソリッド・ステート・アレイに関するガートナーのマジック・クアドラントでリーダーに位置づけられています。

Magic Quadrant for General-Purpose Disk Arrays (2018 年11月8日)より

そして、IBMはリーダーとしてストレージの革新を推進するべく、ソリッド・ステート・ドライブ(Solid State Drive。以下、SSD)に代表されるフラッシュ・ストレージのための高速接続規格であるNVMe(Non-Volatile Memory Expressの略称) への対応を進めてきました。

IBMが、NVMe対応オールフラッシュストレージIBM FlashSystem 9100を発表したのは2018年の7月であり、同年10月には、NVMe対応を果たしたIBM Storwize V7000が発表されています。

そして、米国時間の2019年4月2日、IBMは中堅企業におけるストレージのニーズを満たすべく、NVMeに対応するIBM Storwizeファミリーの新製品として、IBM Storwize V5100FとV5100を発表しました。

IBM Storwize V5100F

IBM Storwizeファミリーには、ガートナーのマジック・クアドラントでも「IBMの強み」として取り上げられている「大半のサードパーティー製ストレージ・アレイを外部的に仮想化」という特長があります。そして、今回発表されたStorwize V5100FとV5100は、NVMe対応で実現する優れた性能がお求めいただきやすい価格で提供されるミッドレンジのストレージ製品なのです。

Storwize V5100FとV5100のハードウェア的な特長は、何度も述べている通りNVMe対応です。昨年発表されたIBM FlashSystem 9100、IBM Storwize V7000と同様に、Storwize V5100FとV5100はNVMeインターフェースを搭載したIBM FlashCoreモジュールと、NVMe SSDの両方を実装できます。

データを処理するサーバー側のCPUと、データを格納するフラッシュ・ストレージが高速であっても、データの転送速度が高速化されない限り、持てる性能を最大化できません。

一般的には、SSDはハードディスク・タイプのストレージ向けの接続規格であるSASで接続されています。ただ、不揮発性メモリーであるSSDのデータの読み込みや書き込み速度は、ハードディスクの内部で物理的に回転するプラッター(円盤)よりも高速です。そこで、接続規格をNVMeにすることで、SSDが持つデータの読み込みや書き込みの高速性が最大化されます。さらに、Storwize V5100FとV5100は、高性能、超低遅延、高信頼性、優れた運用効率を提供する独自のIBM FlashCoreモジュールを、NVMe接続で利用できます。

NVMe接続されたFlashCoreモジュールやSSDが優れたデータ処理能力を発揮するため、Storwize V5100FとV5100は大量のデータを高速で使用する必要があるアナリティクスや、機械学習、ディープラーニングをサポートできるのです。

Storwize V5100FとV5100は、SDS(Software Defined Storageの略称)として提供される機能を組み合わせることで、マルチクラウド環境に対応します。

前述した「大半のサードパーティー製ストレージ・アレイを外部的に仮想化」する機能を提供するストレージ仮想化ソフトウェアは、オンプレミス環境に導入するIBM Spectrum Virtualizeを指します。

一方、パブリック・クラウド上に展開されるストレージ・ソフトウェアで、パブリック・クラウドで実行されるアプリケーション向けに、仮想化されたブロック・ストレージ・サービスを提供する製品が、IBM Spectrum Virtualize for Public Cloudです。

Storwize V5100FとV5100は、Spectrum Virtualize for Public Cloudと組み合わせることで、「Storwize V5100FとV5100がサポートするプライベート・クラウド」と「Spectrum Virtualize for Public Cloudによって仮想化されたブロック・ストレージがサポートするパブリック・クラウド」との間で、データのミラーリングや移動といったデータ管理が容易に行なえます。つまり、ハイブリッド・クラウドに対応します。

そして、さらに、Spectrum Virtualize for Public Cloudは、AWSことAmazon Web Servicesにも導入できることから、Storwize V5100FとV5100は複数のパブリック・クラウドで構成されるマルチ・クラウド環境をサポートできるのです。

Spectrum Virtualize for Public Cloudの活用例の1つとして、事業継続計画(Business Continuity Plan。以下、BCP)が挙げられます。

経済産業省の中小企業庁による委託調査「中小企業のリスクマネジメントへの取組に関する調査(2015年)」によると、BCPの策定率は15.5%であり、64.4%の企業がBCPを「策定していない」との回答でした。

調査から4年を経過しているので、BCP策定率は向上していると推察されます。ただ、一般的なBCPへのアプローチである「ローカルサイトと異なる地域にリモートサイトを用意する」場合、費用負担が大きいことから、策定完了に至らない企業も多いのではないでしょうか。

PDF『平成24年度版 中小企業BCPの策定促進に向けて〜中小企業が緊急事態を生き抜くために〜(中小企業庁事業環境部)』にある「4. 先ずは、BCP取組状況のチェックから」のチェックリストでは、物的資源(情報)として、以下が挙げられています。

情報のコピー又はバックアップをとっていますか?
あなたの会社のオフィス以外の場所に情報のコピーまたはバックアップを保管していますか?
・主要顧客や各種公共機関の連絡先リストを作成する等、緊急時に情報を発信・収集する手段を準備していますか?
・操業に不可欠なIT機器システムが故障等で使用できない場合の代替方法がありますか?

4つの設問のうち2つが「情報のコピーまたはバックアップ」であるように、BCPの策定においてストレージは重要な役割を担います。

物理的にリモートサイトを用意する代わりに、パブリック・クラウドを災害復旧のためのリモートサイト化することで、BCPのための費用負担の抑制が可能となります。Storwize V5100FおよびV5100とSpectrum Virtualize for Public CloudをBCPの策定にお役立ていただければ幸いです。

IBMが提供するSDSの1つに、IBM Storage Insightsがあります。

Storage Insightsは無償で提供されるクラウド・サービスであり、Storwize V5100FおよびV5100と組み合わせて活用することで、製品の保守機能が拡張されます。

Storage Insightsは、Storwize V5100FおよびV5100のストレージ容量の管理や監視を行うとともに、機器のログを収集し、利用状況をモニターします。そして、世界中のStorwizeファミリーから収集した膨大なログをAIによって分析することで、障害の事前検知とそれに伴う障害発生の予防および低減を目指しています。

つまり、Storage Insightsを用いて、Storwize V5100FおよびV5100に対する予知保全を実現することで、ストレージのダウンタイム(障害発生などの理由でシステムが利用できない時間)の最小化が可能になるのです。

早いだけではない、NVMeに対応するミッドレンジのオールフラッシュ・ストレージ IBM Storwize V5100FおよびV5100。

BCPの策定に苦慮なさっている中堅企業の皆様と、予知保全によるダウンタイムの最小化を検討しているお客様に、ぜひご検討いただきたいミッドレンジ・ストレージです。

IBM Stowize V5100 製品ページ

IBM Storwize V5100F

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Written by Takumi Kurosawa

なんちゃってブロガー兼カメラマンな勤め人。業務用ソーシャルメディアの元「中の人」。(Mediumでの執筆内容は私自身の見解であり、執筆時点で所属していた企業の立場、戦略、意見を代表するものではありません)

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